吐き気や嘔吐の原因
吐き気は医学的には悪心（おしん）と言い、胃の中のものを文字通り吐き出してしまうことです。こうした感覚や症状がおこる原因としては、妊娠中の悪阻（つわり）や乗り物酔いといった、あまり心配のいらないものから、食中毒などの細菌やウイルスの感染症と薬物アレルギーなどの化学反応によるもの、メニエール病などの内耳に由来するもの、胃炎、胃潰瘍、胃がん、十二指腸炎、十二指腸潰瘍、腸閉塞、大腸がんといった消化管に由来するもの、神経症や過食症といった心因的なものなどの他、脳内出血、脳腫瘍、くも膜下出血などによって脳圧が亢進することでおこる中枢性の病変でも同様の症状がおこることが多く、緊急の治療が必要になります。
吐き気や嘔吐に伴う症状
脳幹部にある嘔吐中枢が刺激された時、胃が激しく収縮し、吐き気に続いて嘔吐がおこります。
急性の嘔吐は、勢いが激しいため、時に食道を傷つけ出血に到ることもありますので、注意が必要です。また、嘔吐物の誤嚥から肺炎をおこしたり、交感神経が興奮して心拍や呼吸が亢進するなどの症状をおこしたりすることがあります。
嘔吐して、胃が空になるといったん治まることもありますが、時に胃が空になっても吐き気が続くときもあります。こうした状況が続くと、大量の胃液が失われ、脱水症状や電解質異常をおこすこともあります。さらに嘔吐が続くと、食欲が失われ、正常に消化吸収が行われないことから、栄養不良になることもあります。
吐き気や嘔吐の治療法
吐き気、嘔吐の原因の7割程度は食中毒なども含む消化器官の異常によるものですが、それ以外にも精神的原因や化学物質によるものなどのケースもあり、また最も注意が必要なのは、脳の疾患によって嘔吐中枢が刺激されているケースです。
こうした原因をしっかりと切り分けて、原因にあわせた治療を行います。
脳疾患などの中枢性病変の場合は、救急搬送なども含めて、高度医療機関へ速やかな治療を依頼することになります。
