下剤を飲まない大腸カメラ

下剤を飲まない大腸カメラ検査とは

大腸カメラ検査を行う際に、腸内に食物の残渣や便が残っていると、誤診や見落としの元になりやすいため、下剤を飲んで腸の中をきれいにしていただく必要があります。 下剤といっても、通常の錠剤ではなく、2ℓの薬液を2時間程度かけて大量に飲む必要があります。また、下剤には飲みやすいように味がついているのですが、その味が苦手という方もいます。さらに下剤を使うことに抵抗感のある方もいて、その点でも大腸カメラ検査が敬遠される理由の一つになっていることがあります。
そこで、当院では少しでも多くの方に抵抗なく検査を受けていただけるよう、下剤を飲まずにできる大腸カメラ検査を実施しております。

鼻チューブ法について

下剤をご自分で飲まない大腸カメラ検査にはいくつかの方法がありますが、その第一は「鼻チューブ法」といわれるものです。文字通り、鼻からチューブを挿入して胃に直接下剤を注入する方法で、大量に薬液を飲んだり、その味に抵抗があったりする方に適した方法です。
麻酔をしてから、鼻にチューブを挿入しますので、挿入時の痛みもありません。

メリット

ご自分で下剤を飲む必要がないので、大量の下剤を飲む不安や味への抵抗感などがある方にお勧めの検査方法です。
チューブを挿入する際は麻酔とともに、管の送り込みも慎重に丁寧に行いますので、違和感もほとんど覚えることなく済みます。
また検査の前処理が効率的になり、医師側も内視鏡操作をスムーズにおこなうことができるというメリットがあります。

デメリット

麻酔薬にはキシロカインという薬剤を使用します。この薬剤にアレルギーがある方には鼻チューブ法は実施できません。
また、副鼻腔炎などがあり、鼻腔が狭い場合は、鼻への挿入に違和感を感じることもあります。

内視鏡的洗浄液注入法について

胃カメラ検査を先に行った後に下剤を注入して、大腸カメラ検査を行う方法です。胃カメラ検査が完了したタイミングで、スコープを通じて下剤を十二指腸に注入します。
ご自分で大量の下剤を飲む必要がなく、短時間のうちに前処理を行うことができます。

メリット

同日中に胃カメラ検査と大腸カメラ検査をスムーズに両方お受けいただくことができます。
胃カメラ検査でもスコープ挿入中は麻酔が効いていますので、痛みや違和感を覚えることがありません。苦痛なく前処理ができることがメリットです。

デメリット

胃カメラと大腸カメラ検査を同日に行う時のみに適用になります。上部消化管(食道、胃、十二指腸)に症状がなく、胃カメラ検査に保険が適用されないケースでは、胃カメラ部分は自己負担となって、追加料金が発生します。

検査の流れ

1事前受診

大腸カメラ検査をご希望の場合、事前に一度受診していただく必要があります。受診の際、医師やスタッフから検査の説明を受けて、ご希望の日程で予約をとっていただきます。

※血液をサラサラにするお薬を服用している方へ
大腸カメラ検査は、必要に応じて組織を採取したり、ポリープや初期がんなどが見つかった際には、その場で切除したりすることになる場合があります。その際、血液をサラサラにするお薬を服用している方は、処置の際の出血が止まらなくなるおそれがあります。また、ご自分が服用されているお薬の性質がはっきりしない場合なども含めて、事前受診の際には必ず医師にお申し出ください。

2検査当日まで

検査日程の数日前からは、お食事の際には消化の良いものを心がけて、腸に残りやすい、野菜やきのこ、海藻などはできるかぎり控えていただく必要があります。
また検査前日は3食とも消化のよい食品を摂るようにしてください。

3検査当日~検査の実施

当日の朝食は絶食となります。

~鼻チューブ法をご希望の場合

まず、鼻に麻酔薬を使用し、チューブを挿入していきます。挿入は聴診器やレントゲンで確認しながら、胃に到達したかどうかをしっかりと確認して、下剤を注入します。注入時間はおよそ2時間で、注入開始後30分ぐらいで便意を感じ始めます。医師の指示に従って排便と便の確認を行ってください。便が透明になり便意が落ち着いたところで大腸カメラ検査を開始します。

~内視鏡的洗浄液注入法をご希望の場合

先に胃カメラ検査を行い、カメラが十二指腸に到達し、十二指腸の観察が終わったところで、下剤を注入します。下剤注入が終わったころから10~20分ほどすると目が覚めます。排便開始から、便が透明になり残渣も出なくなり便意が落ち着くまでには2時間程度を要します。気になることや不安なことがありましたら、なんでもスタッフまでお声がけください。

※注意

どちらの方法でも、しっかりと洗浄が済んでいないと判断した場合、追加で下剤を飲んでいただいたり、浣腸を行ったりすることがあります。

4検査後

検査終了後は麻酔や鎮静剤の効果が覚めるまで、ゆっくりとリカバリールームで休んでいただきます。その後医師から検査の結果をご説明して、ご帰宅となります。
※注意 麻酔、鎮静剤を使用した検査ですので、ご自身の運転による、自動車、バイク、自転車などでのご来院はお控えいただき、家族の方に送迎してもらうか、公共交通機関をご利用ください。

検査費用

健康保険適用の場合の検査費用は、以下の通りになります。

  1割負担 3割負担
大腸カメラ検査 約2,500円 約7,500円
大腸カメラ+病理検査 約3,000円 約10,000円
大腸ポリープ切除術 約9,300~11,000円 約28,000~33,000円

※鼻チューブ法をご希望の方は、材料費として別途3,000円かかります。
また内視鏡的洗浄液注入法では胃カメラの費用が別途必要です。
なお、費用はいずれもおよその見積もりです。

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